青い夜

先週の金曜日ですがまたムハンマド風刺画問題で動きがありました。


デンマーク紙Politikenが2008年に風刺画を転載したことに対して、
ムスリムに不快な思いをさせたとして謝罪をしました。
これはエジプト、リビアカタール、オーストラリア、ヨルダン、
サウジアラビアレバノン、およびパレスチナにある8組織と和解したもので、
2005年9月に最初の風刺画が掲載されて以降同国紙としては初の和解となります。


Politikenは2008年、警察が風刺画家の暗殺計画を阻止して容疑者を逮捕した翌日に、
国内の他紙と協調し「表現の自由を守るため」と風刺画を転載していました。
今回の和解について同紙は掲載したことへの謝罪ではなく、
風刺画をムスリムに不快な思いをさせたことに対する謝罪だとしています。
この和解を更なる対話と和解に繋がるための小さな一歩と考えているようです。


これを受けて最初に風刺画を掲載した同国紙Jyllands-Postenは、
デンマークメディアと言論の自由およびPolitikenとって悲しい日」と非難しています。
また同紙の編集長は、
「Politikenは言論の自由を得るための戦いで裏切り、
脅迫に屈して諦めて頭を下げている。恥さらしだ」と述べています。



問題当初PolitikenはJyllands-Postenの考えは認めつつ、
風刺画の画の要素(画のセンス)は否定していました。
にも関わらず再掲載に同調した点は理解できませんでした。
両者は水と油の関係ですから。


言論の自由」に対する考えが乳化剤となったわけですが、
これがそんなに大切なものなのかには疑問を持ちます。
私が民主主義?と呼ばれる国に住んでいたとしても。


その言葉を用いるのが大抵メディアであること、
現にこの国でもタブーになっていることがあるわけで、
それでも「言論の自由」と呼べるのかどうか。
ヨーロッパにおいても、
フランスやドイツではホロコーストに対する表現に規制がされているわけで、
それでも「言論の自由」と呼べるのかどうか。


もちろんこれは0か1かの議論をするものではないことは理解しています。
まあ話は逸れましたが今回の和解は、
というよりもムハンマド風刺画問題全体を通しても、
新聞社の金の問題が絡んでると思えてしまう私でした。
新聞がネットに広告費で抜かされテレビも縮小傾向にある日本でも、
こういうことが近い将来起きる、
というよりもしかしたら現に起きてるかもしれません。