Pinkberry Song

甘みに混ざる苦みは罪の味。 hs.fi


7月、タイ人の男性は希望を胸にフィンランドの地に降り立ちました。
彼はこの夏をLaplandの森林で果実を摘み取りながら過ごす計画でした。
クラウドベリーを収穫し十分なお金を手に国へ戻る予定でしたが、
彼はSallaで行方不明となり数週間後遺体で発見されました。


フィンランドでは果実を採取する季節従業員をタイから受け入れることが慣例となっています。
これには長年に渡って奴隷労働と人身売買と同列であると強い批判が寄せられてきましたが、
死者が出たのは今回が初めてのことです。
果実摂りになる者の多くはタイの農村地域に暮らす貧しい人達で、
大半が非識字でもある彼らにとっては僅かな副収入も貴重なものとなっています。
しかしながら果実摂りは成功を約束されるものではなく、
その多くは新たな問題を抱えては帰路へ就く現状があります。


果実摂りの準備資金はすべて彼ら自身の支払いです。
仲介した代理人への手数料、ビザ、渡航費、滞在費etc.
更にはバケツや果実を摂る道具も自分たちで用意しなければいけません。
野生の果実が不作だった2008年には彼らの半数以上が借金を残して帰国しています。


こうした状況は徐々にではありますが改善されつつあります。
ある会社では彼らをフィンランドへ招待し、
2時間の研修後に森林へ送り込むということを実行しています。
またビザを保障した会社は管理下で果実摂りの作業を行わせる必要があります。
スウェーデンでも同様な問題を抱え、今年の夏には労働者による暴動が発生しています。


先日ゴマの収穫・選別を体験したのですが、これが細かくてとても難しい。
ゴマの大半を輸入している日本も外国で同じようなことをしているのでしょう。
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そのスウェーデンの話題もどうぞ。 sverigesradio.se


スウェーデン警察はこの夏の果実摂りに参加した160人のタイ人について、
正当な賃金であったかどうかの調査に乗り出しました。
約二ヶ月間スウェーデンの森林で果実の採取を行い、
そこで彼らが手にした収入は900USD(7万2000円)に満たないということです。
残りの給与については仲介業者が着服した疑いが持たれています。
その会社は空の銀行口座を残し消えています。


果実摂りの多くは地元で仕事がない状態で外国へと向かいます。
38人のタイ人は残りの給与を受け取るべく今もスウェーデン国内に留まっています。
Åseleの市議会議員はこの件を含めた上で、
システムに変更が為されないのであれば、来年の果実摂りは行うべきではない、
としています。


また報告によるとタイ現地で果実取りを募集する際には、
スウェーデンでは簡単に多額の給与を貰えるというような宣伝が謳わているようです。
しかし実際の作業は過酷な労働条件の下で行われ、
準備費用が非常に少ない賃金を上回ることさえ起きています。


禁断の実
Pinkberry Song / Lady Tigra 2007年