Sweet Caroline

今日はデンマーク人プロテニス選手Caroline Wozniacki(キャロライン・ウォズニアッキ)を特集します。


彼女はデンマーク人として初めてテニスの世界ランキングで1位に登り詰めました。
実力もさることながら、デンマーク国内における人気も相当なものです。
テニスの試合がない日でもスポーツの話題に取り上げられ、
国内外のイベントに参加している様子も写真付きで必ずといっていいほど報道されています。
テレビの世界にも彼女は大きく貢献しています。
Eurosport Danmarkによると、
U.S.Open Championships(全米オープン)4回戦Maria Sharapova(RUS)との対戦を放送した際、
デンマーク国内における平均視聴者数が過去最高の26万人を記録したということです。
これについて同社のプロダクションマネージャーはこう述べています。
「テニスは非常に人気が高いスポーツのひとつです。
そこに彼女が登場したことで一般的な人にもそれが浸透したといえます。」


その一方でCarolineとデンマークのスポーツメディアとの関係は必ずしも良好とはいえません。
それは彼女以前にテニスの世界において国際的な活躍を見せたデンマーク人が、
1950年代のKurt Nielsenしかいないことが関係しています。
国内のマスコミでCarolineについて報じる際には試合の勝敗にはあまり注目されず、
話題は彼女の容姿賞金、家族といったものが大半で、
テニスの内容に対する批評が十分に為されていない現状があります。
このような状況に彼女の父親であるPiotr Wozniackiは苦言を呈しています。
「Carolineは世界のメディアや評論家から高い評価を受けていますが、
デンマークのマスコミからももっと理解される必要があります。
彼らは{Carolineは神だ}のような報道をしていますが、
何故その様な状況に至ったのかを説明できるとは思えません。
デンマークメディアのテニスへの不理解と経験の欠如が、
彼女のような国際的な選手が出現したことで露呈したといえます。
私もCarolineも最初はそうでしたから、それは理解できます。
だから彼らはもっと経験を積む必要があります。」


今や女王となったCarolineのテニスの特徴は、
コートを広範囲に動ける機動力を活かした守備とあらゆる種類のショットを打ち分けられる正確性にあります。
ラリーを続けることで徐々に自分のペースに持ち込むことを得意としていて、
相手がミスしたところでポイントを重ねるのが彼女のやり方です。
ただこれには守備的すぎるという意見もあります。
彼女が国内外のメディアに批判される理由は主にこのプレースタイルにあり、
世界ランキングで1位になったことで、今後更に強まることも予想されます。
賢くて粘り強い、素晴らしい選手であることは誰もが認めていますが、
果たして彼女がテニス界の頂点に立つに相応しいのか?というものです。
彼女はこれまでの対戦で前女王であるSerena Williams(USA)や元女王Justine Henin(BEL)、
Kim Clijsters(BEL)から勝利を挙げたことはありません。
そしてテニスの4大大会においても準優勝が1回あるだけで未勝利のままです。
彼女と同じように4大大会未勝利でランキング1位に登り詰めたDinara Safina(RUS)は、
今年大不振となり順位を大きく落としました。
これらを踏まえた上である専門家は
「世界ランキングで1位になることと世界最高の選手になることは違います。
彼女は世界最高の選手ではありませんが、ランキングでは1位です。
ここ1年間素晴らしい成績を残してきたことは確かです」と述べています。


多くの専門家が述べているように、彼女自身もまだ足りない何かがあることは認めています。
そしてテニスが消極的だという批判についてはこう答えています。
「私は誰と対戦していても勝つために常に自分のプレーが出きるよう心がけています。
確かにもっと積極的なテニスをすることは可能かもしれません。
ただ私は辛抱強くボールを拾って打ち返すこと、
それが最高のプレーだと考えているし、私にもそれが合っている。
勝つために試合をしているのであって、それを誰が何と評価しようと、私には関係ありません」
こういった意見やランキング1位という成績からも、
彼女は20歳という年齢にして自分に合うテニスを既に修得してようにも見えます。
そんな新女王について、
世界ランキング1位を歴代2番目に長い311週経験したMartina Navratilova(CZE)はこう述べています。
「私は彼女が更に成長をすることを期待しています。
彼女はたしかにグランドスラムで勝つことは出来なかったけれど、
ここ1年の戦いを見れば最高の選手でした。
もちろん4大大会でも勝利を挙げる必要があります。
それは来年直ぐにでも達成できるでしょう。」


既にWTAツアーは今季全日程を終了しました。
つかの間の休暇を取った後、彼女は新たなシーズンに備え、
そして1月後半に開幕するAustralian open(全豪オープン)に向けて練習を再開します。
入れ替わりの激しい女子テニスの世界で彼女は頂点を守り通せるのか。
そして未だ勝利のない4大大会で優勝することができるのか。
今まで以上に周囲の期待が膨らむ状況でどのような結果を残すのか注目されます。


彼女の写真はこちらekstrabladet.dkでご覧ください。
こちらはSvetlana Kuznetsova(RUS)とサッカーをする様子です。


Sweet Caroline / Neil Diamond 1969年