Express Yourself

自由とは


ロンドン・メトロポリタン大学で教鞭を振るう81歳の男性は、
2005年にデンマークで発生したムハンマド風刺画問題を例に取り、
無制限の表現(言論)の自由は危険であると指摘しています。
彼は「合理的な不寛容へと導こうとする巨大な力を感じる」と語っています。


あの有名なターバンを爆弾に模した男の風刺画を例に見てみましょう。
大半の人が預言者ムハンマドには「見えない」ということで攻撃から逃れようとしていますが、
ムスリムはそれを危機だと認識しています。
彼は、デンマークムスリムがこれを侮辱的な画とする理由が2つあると指摘します。
「まず第一に、デンマークに暮らすムスリムは恒久的な平和を感じていないことです。
フランスやアイルランドで生活するムスリムもまた同じように、
ヨーロッパに暮らすムスリムはそうなる可能性が高い」
「次に、ムスリムとは異教徒であるヨーロッパ人が、
平和的に共に生活できない理由としてイスラーム至上主義者による犯罪(問題)を強調しています。
これによって、
ヨーロッパ社会に問題なく溶け込んでいたはずの穏健派たちも、その犠牲になっています。」


そして彼は、この問題で表現の自由が絶対的に擁護されていることを批判的に見ています。
「表現の無制限の自由は攻撃的な言論も可能です。
それによって合理的な議論が不可能になる傾向があり、無制限の自由は悪でしかありません」
「自由を破ることは、合理的な政治的な議論に終止符を打つことが出来、
それらを歪めることさえ可能です。
表現の自由を制限するには十分な理由が存在するのです」


風刺画を掲載した『Jyllands-Postens』紙が問題後に守りの姿勢へ出たことについて、
彼は「道徳的に支離滅裂だ」と考えています。
「彼らは風刺画をクリスチャンを守るための手段として使用しました。
その一方で、ムスリムを怒らす意図はなく、
風刺画の印刷は犯罪ではないとも主張しています。」
そしてこのような問題が起きた場合には、
当事者が合理的に議論を交わすことが重要だと述べています。


例えば、無人島に放り出された状態と脱獄して雨に打たれた状態、
どちらが自由を感じるでしょうか。
Express Yourself / Madonna 1989年