Crumbling Land

朝夕の自転車通勤ラッシュは凄い光景です。 jp.dk


現在のデンマーク人はかつてないほど、
周辺都市からバスや電車、自転車を利用して主要都市へと通勤する人が増えています。
そこで明らかになったことは、多くの人が県境や市境を越えていると言うことです。
コペンハーゲンにほど近いVallensbækでは、
居住地周辺の仕事に就いている人は僅か15%に止まります。
他都市の仕事に就いている人の全国平均は43.7%です。


周辺都市から通勤している人が多いのは首都コペンハーゲンだけではありません。
AarhusやOdenseといった地方都市もまた隣接する地域から多くの人を集めています。
Danmarks Tekniske Universitet(デンマーク工科大学)の研究者は、
デンマーク人の通勤時間は金融危機後に増加したと見ています。
金融危機の影響で、仕事を探すためにも人が移動している現状があります。
不況ということもあって住宅の購入も難しく、労働市場も縮小しています。
それによって通勤距離・時間が増加したといえます」
彼はそれとは別に、
現在では専門的な知識を仕事に活かしたいと考える人が増えたことによって、
自分に合う仕事を見つけやすい大都市へと出かけることで長距離の移動が増えたともしています。


デンマーク第二の都市Aarhusに隣接するSyddjursを含む4市は、
他都市通勤者率の平均が50%を越えています。
AalborgやOdenseの周辺都市でもその平均が高い傾向にあります。
Aalborg大学の研究者は、これらには石油価格と住宅価格が関係しているといいます
「石油価格が高い期間には、人々は自分の仕事場から離れていたいとは思いません。
石油価格が低い場合にも、現在のように主要都市の住宅価格が上昇しているような時には、
郊外の都市で生活することを選択するのです」


「環境的観点からすると、
周辺都市が開発され通勤時間が増えることは良いこととはいえません。
しかし経済成長の点からすると、他の大国と同じようにそうあるべきだともいえます。
例えばコペンハーゲンをベルリンやHamborgといった都市を競わせることは重要です。
ただ全国的に同じことをする必要はありません」


日本だけの光景ではなくなりつつあるようです。

Crumbling Land / Pink Floyd 1970年