Das Model

Copenhagen Fashion Week 2010が閉幕して数日が経過しました。
今日は華やかなショーの舞台裏を紹介します。


デザイナーが生み出す斬新な発想を元に作られる衣装の数々は、
科学技術の発達によって表現に広がりを見せ続けています。
その一方でモデルに焦点を当ててみると、50年前から何も変化していません。
今回のショーに参加したモデルは200人を超えていますが、
黒人系のモデルは2人、アジア系は発見できませんでした。
Dokumentations- og Rådgivningscenteret om Racediskrimination (DRC)の所長は、
ファッション業界の内省を期待しています。
「それはもちろん違法ではありません。
しかしファッション業界は様々な人種のモデルを選択することに関してもっと責任をもつべきです」
デザイナーのひとりもこれを問題だと認識しています。
「例えば中国のショーでは中国系のモデルが大半を占めるように、
デンマークで北欧系が多く採用されるのは当たり前のことです。
しかしもっと黒人系やアジア系を起用すべきでした」


ショーの責任者は開催期間中に取材に応じています。
【なぜデンマークのモデルには黒人系やアジア系が少ないのですか?】
「国内企業の大半が肌の色が白いモデルを求めていることと、
この国ではそういった背景を持つ人が少ないことも影響しています。」
【批評家の中にはファッション業界にもそういった選択の責任があると考える人もいますが?】
「確かにその通りです。
我々はもっと様々な人種のモデルを採用すべきでしょう。
そしてファッション業界が世界に与える影響をもっと考える必要があります」
【ではどうして実行されていないのですか?】
「お金の問題でしょう」


デンマークでモデルになるためには以下の条件が求められます。

  • 身長

男女問わずに身長は170cm以上あることが求められます。
もっといえば女性は173cm以上、男性は180cm以上と明確な条件を出す事務所も存在します。
ちなみに同国の16〜19歳の平均身長は男性は181cm、女性は168.5cmです。

  • 肌の色

たとえ身長と身体の幅が要件を満たしていたとしても、
デンマーク系が多くを占める業界内では肌が白い方が仕事に恵まれると考えられています。

  • 年齢

Helena Christensenのような女性もいますが、
大抵のモデルは10代から20代前半の男女で占められています。
一般的に10代の女性モデルは年齢以上の雰囲気を求められていますが、
男性モデルの場合には華奢な脚や腕を持つ人は大成しないとされています。

  • サイズ

近年デンマーク人のサイズは大きくなっていますが、
ファッションの世界では大きすぎると美しいとはされていません。
女性の場合、胸囲は85〜90cmで腰囲は約90cm、服のサイズは36〜38が一般的です。
男性の場合、ジャケットサイズは48〜50でパンツサイズは32〜34です。

衣装と同じようにモデルの顔にも流行が存在していますが、
最も理想的な美しさといえるのはクラシックな顔立ちです。
女性で例えるならばCharlize TheronとAudrey Hepburnが挙げられます。


そんな条件を満たし今回のファッションショーでモデルデビューを果たした女性がいます。
彼女の身長は178.5cmで年齢は13歳です。
彼女はこの若さでモデルの世界に飛び込み、
市庁舎広場からNytorvまで続く1.6kmに渡るキャットウォークをこなしました。
初舞台でありながら8ステージに登場した彼女は、
普段の足のサイズ40が開催期間中の疲労によるむくみで41に変化しました。
それでも彼女にとってコペンハーゲンのファッションは魅力的であり、
刺激的な舞台に立てる喜びを感じているようです。
彼女は7歳の時、家族と買い物中にスカウトに声を掛けられていました。
その時は断りましたが、その後再びスカウトされたことが今回の舞台に繋がっています。
プロになって日の浅い彼女ですが、自分が立っていないショーを見てはモデルの動きを勉強する姿は、
既にプロの雰囲気とその意識が芽生えているように映ります。
そして彼女は舞台上で良く映える姿勢を発見したようです。


花の形は数あれど、見ゆる花は数ならず。