FREAK SHOW

開けてはいけない缶詰もあるよ。 thelocal.se


これはSurströmming(シュールストレミング)のお話です。
rotten herring(腐ったニシン)としても知られているこの缶詰は、
航空会社には凶器と認定したことにより持ち込みが禁止されていて、
子どもにとっては匂いで教室に混乱を起こす道具として馴染みのものです。
そしてそれはスウェーデン人でさえも珍味と認めるものです。
Surströmmingはその刺激的な匂い、正確にはその臭い匂いによって、
スウェーデンの団地やアパートでの開封を禁じられているほどです。
しかしながらこれを重要なスウェーデンの文化現象と捉える向きもあり、
後生に継承していくための保護が為されていたりもします。


Surströmmingはsour herring(酸っぱいニシン)を意味するもので、
スウェーデン北部では非常に特別な料理として珍重されています。
これは17〜18世紀にかけてのスウェーデン軍が
長期間の行軍に必要な食品として作ったのが始まりとされています。
作り方は5〜6月にかけてバルト海で採れた魚を1,2ヶ月熟成させてから缶詰にします。
そして半年から1年後には魚から発生したガスによって缶は奇妙な隆起を見せます。
多くの人にとってSurströmmingは、
東南アジアのドリアンやノルウェーのlutefiskに匹敵するような、
最も不快な料理として世界に知られています。
この匂いのもとは二酸化炭素を生み出すバクテリアと多数の化合物が混ざり合ったもので、
いくつかのサイトでは「あなたの想像を絶する不快な匂いの料理」と述べられています。


8月下旬にSurströmmingを食べることはスウェーデンの伝統になっています。
Surströmming Academy社の社長は代表的な食べ方として、
カリカリに焼いたパンに6つ切りのポテト、
そしてトッピングに赤玉ねぎやサワークリーム、ディル、トマトを挙げます。
合う飲み物として年配世代は牛乳、若者はWisby Weissビール、
あるいはドライロゼやダークラムとの相性は抜群です。
一般的に野外で食べられているように彼もまたそれを薦めますが、
室内で食べる方法もあると言います。
「あなたが大きなアパートに住んでいるとしたら、
【Surströmming Party】という標識を立てることです。
そうして隣人にガスやその他の流失を通告しておきます」
また彼は低温で開封することは匂いを抑えることに有効だとして、
冷水の中や冷蔵庫の中で開封すると良いと述べています。


2006年にAir FranceやKLM、British Airwaysといった航空会社は、
缶が爆発する危険性があるとしてSurströmmingを航空機内に持ち込むことを禁止しました。
生産者は缶が危険であるという神話を信じている航空会社を「無教養」と批判していて、
彼もまたこれを乱暴な要求だとしています。
「家庭料理のどこがテロリストの武器だというのでしょうか?
もし中身が爆発したとしても、彼らはそれを面白いと捉えるはずです」
ただ残念ながらArlanda空港でSurströmming再び販売されるようになるには
まだ時間が掛かると彼は見ています。
Surströmmingがテロリストの武器でなくても、その力は考慮され続けています。
都市伝説によれば、ここ数十年の間にも、
学校に通う子ども達は教室内で缶詰を開封し続けているということです。
彼の話によると1年間に25の教室で混乱を招いているとのことです。


聴くところによると、
これの汁や何かが衣服に付着した場合には
臭いは一生取れないらしく(その人は捨てたと言っていました)、
肌に付着した場合は3,4日取れないとのことです。
恐るべしSurströmming。
FREAK SHOW / RIP SLYME 2001年