Grand choral

天才と早熟の違いを見分けるのは難しい。 kpn.dk


Charlotte Madsen。
デンマークの北西の街Thyborøn出身で18歳の彼女は、
今年の9月『Søde lille du(英題:Sweet Darling)』で長編映画監督としてデビューしました。
映画の内容はあらゆる意味で恐ろしい、罪悪感や赦しについてのお話になっています。
10歳の少年(主人公)が5歳の妹を誤って銃で殺してしまいます。
その銃は地元の警察官と母親が逢い引きしているときに手に入れた物です。
この事件によって小さな村は悲劇に包まれますが、
少年は転入してきた少女に赦しを見出し、そこに歩み始めるというものです。


この映画はLemvigで初上映され、その後Århusでも上映されました。
期待の若手はDVDを各販売代理店に配布して更なる上映場所を探しています。
彼女はこの映画の構想は既に中等教育時代にあったと語っています。
それは本当に小さな断片的でしかないお話でしたが、
彼女は高校を中退して映画作りに真剣に取り組もうと決意しました。
その後映画について学べる場所を探した結果、コペンハーゲンにある映画学校に入学します。
映画学校で彼女はいくつもの短編映画を制作して、それらが今回の長編映画にも活かされています。
なぜ伝統的な映画ではなく、このような濃厚な作品を撮ったのでしょうか?
「私は誰も制作したことがないような作品を作りたかった。
このアイデアがどこから生まれたのかは私自身もはっきりとはわかりません。
ただ私はいつでもシナリオを考えています」


彼女の作品に対して家族も最大限の支援で応えています。
この映画も広い意味ではCharlotteとその家族の情熱によって完成したといえ、
彼女の母親は映画のプロデューサーとして映画製作に関与しています。
映画はThyborønの特定の場所、母親の通った学校や祖父母の家などで撮影されています。
これはとても低予算の映画で、彼女がパン屋で働くなどして貯めた3万DKK(45万円)と、
Lemvig市からの助成金5千DKK(7万5千円)で制作されたています。
衣装などを除いて映画に使用した撮影機材はすべてレンタル、
そして何よりも重要な人件費はすべて無料で行われました。
この『Søde lille du』は映画学校内の授業のひとつとして宛われました。
「学校の課題であるシナリオ作りがまだ終わっていません。
だから警察官役のMichael Asmussenに手伝ってもらいました」と彼女は言います。


彼女はValbyの学校に通っている時に、
Michael AsmussenとTherese Glahというふたりのプロの俳優と接触を図ります。
映画の計画についてプレゼンテーションする際に、
彼女は彼らに連絡を取り助言をしてくれないかと尋ねました。
Thereseについて彼女は
「映画やドラマシリーズで彼女を見て、とても都会的な人に見えた」と説明し、
Michaelについてもドラマで見かけた際に適役だと考えたそうです。
ふたりは少し躊躇いましたが参加することを表明し、
半年後に若い作家と一緒に台本作りに取りかかりました。
途中で彼らの友人などから力を借りながら映画は2週間で撮影を終えました。


初の長編映画を発表したばかりの彼女ですが、
既に次回作である第二次世界大戦中の様子を描いた『Kufferten』の制作に取りかかっています。
「映画の上映中だけでも観客がそれに夢中になれることを願っている」
と述べつつ、この映画には500人近い俳優が参加することも明かしています。
現在彼女はThyborønで生活しておらず、
『Søde lille du』に編集として参加した彼氏と共にコペンハーゲンで暮らしています。
彼女の夢は脚本を書きながら監督も継続していくことにあります。
「Danske Filmskole(国立映画学校)に行くという選択肢もあるし、
将来についてはよく考える必要があります。
それに『Kufferten』の制作と学校生活が併用できるかという問題もあります。
それでも私は映画と撮りたいし、それらを共に行うことが出来ると考えています」


いつか彼女の作品が見られる日が来ることを楽しみにしています。
Grand choral / Georges Delerue 1973年