The One On The Right Is On The Left

私は反対ですね。


デンマークは自転車大国として世界に知られています。
しかし、大国であるが故に、自転車利用者のマナーは必ずしも良好とはいえず、
しばしば恣意的なルールが用いられています。
「車では行わないようなことでも、自転車の場合には実行する人がいます。
赤信号が点灯しているときに発進する車は少ないですが、
そのルールを自転車では守ろうとはしません」
とDansk Cyklist Forbund(DCF,デンマーク自転車協会)のコンサルタント
交通社会学者でもある人物は話します。
「規則を破った際にほとんどの人は、誰にも迷惑を掛けていないと考えています」


DCFの会長は、規則に対する感覚に生じるズレが問題だとしています。
「彼らは、自分は優しい運転をしていて、他人が迷惑な運転をしていると考えています。
我々はそれぞれ他人であり、異なった状況にあることを認識することが重要です。
お互いを考慮することで交通事情が改善されることでしょう」


コペンハーゲンの交差点に1時間立っていたら、30〜40の違反が確認できるはずです」
と同市警察の交通部門副責任者は話します。
彼には一部のサイクリストの道路上での横暴な振る舞いが理解できないようです。
「ルールを何故守ろうとしないのか、我々には疑問でしかない。
交通事故を起こして怪我を負ったときに、
彼らは初めて自転車が如何に弱い存在であるか理解することでしょう」


そういったなか、YouGov Zaperaが18〜74歳の1010人に対して自転車についての質問を実施し、
以下のような回答が得られました。

  • 自転車免許を導入するべきか
    • 反対:42% どちらでもない:25% 賛成:28% わからない:5%
  • 警察は交通違反にした自転車利用者について厳格な処罰を行うべきか
    • 反対:19% どちらでもない:27% 賛成:50% わからない:3%


市民の4人に1人が免許制に賛成を示していますが、
これに関する政治的な支持はとても低い状態にあります。
「改善の余地はありますが、小学校では既に自転車講習会を実施しています。
免許制の導入が良い考えだとは思えません」
とSocialistisk Folkeparti(SF,社会主義人民党)の議員は言います。
政府は数年内に免許制度を導入する考えはないようです。


警察も免許制度の導入は難しいと見ています。
「それを導入してどれほどの効果が得られるのか疑問です。
法が自転車の違反を許しているのではなく、サイクリストが法を破っているのです」
コペンハーゲンの交通警察官は言います。


もう一つの調査では交通違反者に対して厳しい姿勢を望む人が多く見られました。
「我々は路上により多くの警察官が配置されることを望んでいます。
彼らが居ることで教育的な効果が期待できます」
とDCFの広報担当者は言います。


「我々も自転車専門の警察官を配置することには賛成で、
年4回、集中的に自転車を取り締まることを提案しています」
と先程の議員は話します。
ただこれについて警察は、自転車への取り締まりを強化することは、
他のものへの取り締まりの時間が削減されるとして消極的な姿勢です。
「取り締まりを強化することは財源も確保する必要があり、
それは他のところへ影響が出るでしょう。
しかし、それでも自転車への対処は強化すべきだと思う」
と先程の交通警察官は述べています。


多くの人は歩くようになり、自転車に乗るようになり、自動車の運転に至ると思います。
けれどそれぞれの立場になったときに、
以前の感覚が共有できていないことが一番の問題点だと考えています。
The One On The Right Is On The Left / Johnny Cash 1965年