I like to ski

先週の続きです。


FIS Nordic World Ski Championships 2011(ノルディックスキー世界選手権)の開幕前、
開催地であるオスロはいくつかの悩みを抱えていました。
一つ目は、地下鉄が開幕前の公式行事開催中に故障したことです。
電気系統の問題を解決し直ぐに運行を再開しましたが、
世界各地から訪れる観客を会場であるHolmenkollenへ輸送する手段として不安を持たせるものでした。
2つ目は、天候です。
大会直前に気温が高まることや濃霧が予想されたため、
雪の状態や観戦状況に悪影響を及ぼすことが懸念されていました。
結局、大会期間中に地下鉄の乱れが生じ、
Majorstuen駅に取り残された数千人が競技を見られないという事態が起きています。
天候の方は濃霧こそありましたが、全体的には良好な日が続きました。


ノルディックの本場だけにチケット販売は好調でした。
前回ノルウェーで開催された1997年のTrondheim大会の販売数30万枚には届きませんでしたが、
それでも22万枚以上を売り上げました。
主催者側が目標としていた27万枚には到達しませんでしたが、
チケットの平均価格450NOK(6750円)という高値も手伝い黒字は確保できると見られています。

メダル獲得数
国名 合計
ノルウェー 8 6 6 20
スウェーデン 2 2 1 5
フィンランド 1 1 2 4

Matti Heikkinenが男子15kmクラシカルで優勝したことは、
フィンランドクロスカントリースキー界にとって待望の吉報でした。
自国Lahtiで行われた2001年の世界選手権で大規模のドーピングが発覚して以降、
クロスカントリーの低迷、特に男子の成績は芳しいものではありませんでした。
今大会も期待されていたジャンプ陣はバンクーバー五輪と同様にメダル0と、
必ずしも期待以上の成績を残せたわけではありません。
しかし、Heikkinenの優勝は、
ノルディック競技大国フィンランド復興の足掛かりとなることでしょう。


男子スプリントで優勝したMarcus Hellner(SWE)は
「完璧なレースだった」と自画自賛のコメントを残しています。
「丘の上でに勝つことを意識し始めたけど、スパートは懸命だった。
それに囚われすぎると簡単に負けてしまうから」
女子チームスプリントで優勝したCharlotte Kallaは興奮が収まらないようです。
「本当に凄いことやってのけたと思う。朝起きたとき、勝つことは考えないようにしていました」
Hellnerの優勝以降、期待されたほど成績が伸びず、
スウェーデンチームのワックスに関する批判が高まっていたことについて、
ワックスの責任者はこう述べています。
「我々についていろいろ書かれていたけれど、本当に良いチームなんです」
「彼女たちの勝利によって、無事帰国出来るよ」


この大会の主役は地元ノルウェーの2選手でした。
開幕日に行われた女子スプリントで優勝したMarit Bjørgenは、
やはり地元ノルウェーでの優勝は特別なものがあると話しています。
「スタートラインに立ったとき、観客のみんながMarit!Marit!って言ってくれました。
彼らの期待に応えることが出来てとても幸せです」
彼女は10kmクラシカル(優勝)のゴール後に起きあがれなくなるほどの疲労に見舞われ、
登録していたチームスプリント出場の回避を余儀なくされます。
結局彼女はその後行われた30kmフリーでも銀を獲得し、
大会を通して4つの金メダル、1つの銀メダルを獲得しています。


彼女とは対照的に男子スプリントで2位に終わったPetter Northug(NOR)は
スウェーデン人に負けると、本当にがっかりするよ」と話しました。
この雪辱を晴らすべく迎えた4×10kmリレーでアンカーを務めた彼は、
最後の直線で勝利を確信したのか、からかうような滑りでゴールしました(動画)。
これには観戦していたノルウェーデンマークスウェーデンの王室一行、
そしてノルウェースウェーデン両国首相も困惑した様子だったと伝えられています。
またこの行為に対しては一部メディア、
そして多くのスウェーデン人からNorthugへの批判の声が挙げられました。
そんな彼ですがスキーでは強さを見せつけ金3つ、銀2つの合計5つのメダルを手にしています。


大会最終盤の土曜日Holmenkollenのアリーナには10万人が集まり熱戦を目撃し、
メダルセレモニーが行われたオスロには12万人が駆けつけるなど大会は大盛況でした。
警察の発表では大会期間中、両会場合わせて150万人が訪れたということです
会場地近くのキャンプ場に居た4〜5人の乱闘騒ぎはありましたが、
それ以外に目立った事件や問題は発生しなかったようです。
その一方で観客数ほど地元商店やホテル業は恩恵を得られなかったようで、
ノルウェーの高物価を敬遠した人が多かったと見られています。
また国外で今大会の模様を報じるメディアの数も少なかったといわれています。
それでもノルウェーではこの大会の成功を受け、
2022年あるいは2026年の五輪誘致活動が本格化しそうな気運があります。


札幌大会はなんとも・・。
I like to ski / Polkabjørn & Kleine Heine 2011年