C'est Quand Qu'On Va Ou?

293万人得票率70.4%が出した答えとは。


4月17日フィンランドでは総選挙(定数200)が行われました。

  • 以下は選挙結果です(政党名につく国名は省略)。 
政党名
日本語名:政権関係 選挙前議席 得票率(%) 獲得議席
Kansallinen Kokoomus
国民連合党:与党 50 20.4 44
Suomen Sosialidemokraattinen Puolue
社会民主党:野党 45 19.1 42
Perussuomalaiset
真のフィンランド人:野党 5 19.0 39
Suomen Keskusta
中央党:与党 51 15.8 35
Vasemmistoliitto
左翼同盟:野党 17 8.1 14
Vihreä liitto
緑の同盟:与党 15 7.2 10
Suomen ruotsalainen kansanpuolue
スウェーデン人民党:与党 9 4.3 9
Kristillisdemokraatit
キリスト教民主党:野党 7 4.0 6
その他(Åland代表) 1 ### 1


Mari Johanna Kiviniemi現フィンランド首相要する中央党は、
EUがユーロ圏支援として巨額の救済策に同意して以降、低迷していた支持率を挽回できず、
選挙前議席から16減の35議席で第4党へと転落しました。
この大敗の原因は、金融危機後に停滞した地方経済への有効な対策が打ち出せず、
主な支持者である農村部の人たちの不安を解消できなかったことにあると考えられています。


対照的に大きな躍進を見せたのはTomi Soini率いる真のフィンランド人(PS)です。
国内におけるスウェーデン語教育やNATOEU参加に否定的な姿勢を打ち出すPSは、
現政権が進めていたポルトガル支援策に反対していました。
国内の経済が必ずしも好調とはいえない現状から、
元中央党支持者や無党派層の支持を取り込むことに成功しました。


与党の国民連合党が中央党に代わって第1党に躍り出ました。
次期首相に就任すると見られているJyrki Katainen現財務大臣は、
選挙後に記者の質問にこう答えています。
記者〔国民連合党とPS以外の連立政権を考えていますか?〕
Jyrki「その組み合わせが最も可能性が高いでしょう」
〔新政権はポルトガル支援策を承認しますか?〕
「我々はそれに賛成です。それ以外の方法はありません」


200名の顔ぶれは実に様々です。
今回当選した議員の中には30歳未満が9人含まれていて、
女性の最年少は27歳、全体の最年少は25歳の男性でした。
反対に最年長の新人議員は70歳の男性です。
また黒人系で同性愛者であることを公表している人物が、
フィンランドの歴史上初めて当選を果たしています。
また難民で外国生まれのふたりも国会進出を決めています。
200名のうち、女性議員の数は前回から2増の86人でした。


選挙後に最大手『Helsingin Sanomat』紙が国会議員を対象に行った意識調査によると、
107人53.5%の人が新しい原子炉建設に反対しています。
76人38%が建設賛成で17%は無回答でした。
スウェーデン語を選択科目にすると答えた人は89人44.5%で、
必修科目を継続するした人94人47%を下回りました。


北欧各国の反応はどうだったのでしょうか。
スウェーデン外相でModeraterna(穏健党)議員のCarl Bildtはtwitterで、
この選挙結果はポピュリスト国家が拡大する懸念がある、とつぶやいています。
またSocialdemokraterna(社会民主労働党)党首Håkan Juholtは
「PSは将来に対する人々の不安を悪用している」と述べています。
反対にSverigedemokraterna(民主党)党首Jimmy Åkessonは、
「この結果がスウェーデン国内の議論に影響を与えることを望む」と話しています。


デンマークの主要各紙も、
フィンランド国民は税金で他国を救済することを嫌ったと見ています。
ユーロ懐疑派が多数を占めたことで仮に救済案を拒むようなことがあれば、
金融支援計画の見直しだけに止まらず、EU全体に打撃を与えるとしています。


デンマークでは第3党で閣外協力、スウェーデンでは0→20議席と増やして第6党。
Dansk Folkeparti(国民党)ほどの過激さはないように思えますが、
さてフィンランドはどうなるでしょうか。
C'est Quand Qu'On Va Ou? / Renaud 1994年