This Is Who I Am

それは寒い日の出来事でした。


2010年12月11日の午後、イラクで生まれイギリスで教育を受けたスウェーデン人が、
クリスマスの買い物客が行き交う通りで自爆テロを実行しました。
中立国、また安全な国として国際的に知られているスウェーデンのイメージは、
車の爆発によって破壊されたかもしれません。
これ以降多くのスウェーデン人が
「どうして?何が悪かったの?なぜスウェーデン?」という問いに悩まされています。


警察の捜査の結果から、
彼が2007年に国内で起きたムハンマド風刺画問題に怒りを感じていたこと、
そして作者Lars Vilksの殺害をほのめかすような記述を残していたことがわかっています。
また数年前から狂信的な信徒に変化していたもわかっています。
その彼が自爆テロを起こしたことで、
北欧周辺に暮らすムスリムへの視線はこれまで以上に厳しくなることでしょう。


ヨーロッパでこのような攻撃が起きた背景には、
アフガニスタンイラクにおけるアメリカ「十字軍」に対する不満、
そして欧州各国でムスリムが冷遇されている点が挙げられます。
欧米のメディアはこのような問題が起きた際に、
必ず「イスラーム」あるいは「アルカイダ系」という言葉を強調します。
そうした影響から、イスラム恐怖症の波はこの国にも確実に浸透しています。
それは、昨年9月に行われた総選挙で反移民を掲げるSverigedemokraterna(スウェーデン民主党)が
大躍進を果たしたことからも明らかです。


言うまでもなく、ムスリムの大半は平和を愛する市民であって、
スウェーデンに暮らす彼らも暴力で問題解決を図ろうとすることには反対です。
アルカイダ系」という言葉を纏った事象であっても、
それは宗教ではなく、武装組織であることを大衆は再認識する必要があります。


この事件では負傷者は2人で死者は犯人のみでした。
いくつかの爆弾は不発に終わったように、
これまでスウェーデンや北欧諸国でテロを企てた人物のほとんどは逮捕されています。
ただこれらの事実以上の衝撃を市民に与えたのは確実です。
北欧最初の自爆テロとされるこの事件は、
スウェーデンの今後にどのような影響を及ぼすのか、注目されるところです。


最初で最後であってほしい。
This Is Who I Am / Salem Al Fakir 2007年