let go

ある日日常が一変する。


昨年デンマークスウェーデンでは自爆テロが発生しました(デンマークは未遂)。
国際テロの専門家でFörsvarshögskolan(スウェーデン防大学)に勤務する男性は、
フィンランドでは同様の事件は起きないと予想しています。
フィンランドは、以前のスウェーデンもそうであったように、
嵐の世界における平和の瀬戸なのです」


フィンランドでは大使館のようなテロリストの標的になるような場所も、
攻撃への脅威は最小限に抑えられていると彼は指摘します。
それを証明するようにSuojelupoliisi(SUPO,フィンランド公安警察)は、
国内におけるテロの脅威は依然として低い、と表明しています。
北欧諸国でも特にデンマークが攻撃の対象とされるのは、
ムハンマド風刺画問題が関係しているようです。
スウェーデンでも同様の問題が発生したことでテロへの脅威が増し、
実際に事件が発生するまでに至りました。
SUPOのある警部は、外国のテロリストの考えを把握することは難しいといいます。
「彼らは風刺画を使用することで新たに仲間を募ったり攻撃に出ることを可能にしています」
専門家は、この風刺画問題のような挑発がフィンランドでも起きれば、
事態は急速に悪化すると注意しています。


スウェーデンに暮らす人々の中には、
ソマリアパキスタンなどで訓練キャンプに参加して戦闘に加わった経験がある人も含まれています。
このような活動に関与した人物はフィンランド国内では暮らしていない、
という明確な証拠はありません。
ただ専門家は、
フィンランド人の多くは他の2国とは異なり過激な性行を持ってはいないと指摘します。
そして根源的な思考が暴力を称賛することと相容れていないといいます。
「国内おいて急進思想が広まっているという傾向は確認されていません。
懸念の多くは個人によるものであり、グループとしてではない」


SUPOも専門家の意見と同じようです。
彼らの調査では、フィンランド国内にテロ組織やそれに似た組織は存在しないようです。
しかしながら、テロ組織と密接な関係を持っていたり、協力・支援していたりする人物は、
国内に数十人はいるともしています。
そういった状況ですが、国内ではテロに関連した犯罪捜査は行われていません。
フィンランドイスラーム共同体は、
他の少数派の共同体と同じように、とても穏やかなように見えます。
ただ共同体における個人のなかには過激な思想を持つ人もいるでしょう」
と警部は言います。
彼ら穏健派はフィンランド国内で一般的な役割を果たしています。
専門家は、統合と寛容性はテロ防止にもっとも有効だといいます。
「移民はフィンランド社会の一員として、フィンランド語を学ぶことが重要です。
差別とは真摯な姿勢で戦う必要があります」


ただ暴力を肯定するようなジハード活動は、排他的な移民にだけに限った問題ではありません。
ヘルシンキ大学の研究者は、フィンランドの人口増加が続けばその危険性も増すと見ています。
そんな彼女もまた寛容の重要性を強調します。
フィンランドでは、
他のヨーロッパ諸国と同じように移民の第2世代が増加していますが、
社会のなかで緊張が高まっているという雰囲気はない。
デンマークで見られるようなムスリムへの深い警戒心は我々にはありません。
こうした姿勢を維持していくことが大切です。
これは急進思想を防ぐ重要な力となるでしょう」


テロ=暴力行為で敵対者を威嚇すること。政治的目的のために暴力で訴え出るもの。
let go / m-flo loves YOSHIKA 2004年