Immagina

別の顔。


ある平日の午後、またヘルシンキのバスドライバーが襲われました。
襲撃された最大の理由は運転手が移民系であることだとされています。
ごく一般的な労働者と同じように給与を受け取り税金を納めている彼は、
犯人に聖域ともいえる職場に侵入され背後から蹴られました。


近年フィンランドではこのような憎しみや不寛容な出来事が多く発生しています。
こういった残念な行為は広範囲に渡り、それは子どもにさえ浸透しています。
「ニグロとは遊ばないわ」
と遊び場にいた金髪のフィンランド少女は言います。
ここはおしゃれな住宅街と知られるVantaaで、
街のショッピングセンターにはこの世の全てが売られているかのように輝きを放ち、
その駐車場には新車とも思われる車が沢山並べられています。


ここに暮らす人々はみな裕福で幸せなのか?
いやそうではないようです。
ソマリア起源と思われるその子どもは、
トラムに乗る際にフィンランド人に脅されないかという不安な気持ちになるといいます。
今年の春、ハーフの男性が襲われた事件が起きたとき、
その男性を助けた青年は警察からこう言われたようです。
「このような憎悪犯罪は選挙によって増加している」


昨年11月に警察が発表した報告書によると、
憎悪犯罪の数は1000件を越え前年から20%増加しています。
『Helsingin Sanomat』紙が伝えたことによると、
ヘルシンキにあるレストランでは肌の色が異なる人物の入店を拒否したということです。
子どもも例外ではありません。
フィンランド人のその子どもは地下鉄の駅構内において友だちとスウェーデン語で会話をしていました。
周りにはベンチに座る男ひとりだけ。
するとその男が背後から近づいてきて彼の頭を叩いて走り逃げました。
「僕がスウェーデン語で喋っていたこと以外の理由は見つかりません」
人種差別的な攻撃の対象は政府の移民政策ではなく、ごく一般的な人々に向けられています。
このような攻撃には非難を表明する等、断固とした態度を示す必要があります。


シェンゲン協定の行方や如何に。

Immagina / Biagio Antonacci 2005年