パール

逆戻り。


今年7月、デンマークは国境に纏わる法律が2つ施行されました。
ひとつ目は新移民ルールの適用です。
家族の再統合(移民労働者が祖国から家族を呼び寄せる等)の条件として、
銀行の貯蓄額を4年間で6万3千DKK(93万円)以上とすることから10万DKK(148万円)へと変更しました。
またこの申請費をこれまでの5975DKK(8万8千円)を7775DKK(11万5千円)へと引き上げています。


更にこの申請を行う家族は2つの関門を突破する必要があります。
そのひとつ目は移民テストに合格すること、
そしてそれを受験するための条件を満たすために点数稼ぎをすることがふたつ目です。
なお日本やオーストラリア、カナダ・イスラエルなどの10ヶ国は、
移民テストの受験は免除されています。
それ以外の外国人にとっては移民テスト自体が非常に難しいものであるため、
諸費用の値上げは彼らの移動を更に厳しいものにしたといえます。
実際、前年には月平均600人の家族の呼び寄せが行われていたのが、
今年に入ってからは月平均300人となっています。


ふたつ目は国境管理の再開です。
5日からドイツ側とスウェーデン側の国境に税関職員50人を配置し、
両国から入国する車両に対して厳重に抜き打ち検査を実施しました。
これは政府が乗り出した不法移民や犯罪対策を目的とした国境管理措置の一環で、
国会で90対89という僅差で可決され実施に至りました。


この動きに対して隣国であるドイツとスウェーデン
国境管理を強化するための正当な理由がないとして抗議の声を挙げ、
EU全体でもシェンゲン協定に反するとして否定的な声が多数を占めています。
これに対してSkatteminister(税務相)長官はこう述べています。
「違法商品がデンマーク国内に密輸されているのは明らかです。
移動の自由は人々には与えられるべきものですが、
国境を越える犯罪に享受してはなりません」。


壁を壊して、壁を築く。
パール / YELLOW MONKEY 2000年