Come Around

駅に置いていかれた経験はないです。


これはストックホルムから西に200km離れたKumlaで起きた出来事です。
人口1万4千人の街にある小さな無人駅の近くで泣いている11歳の女の子が発見されました。
夜7時過ぎ彼女は22歳の姉と一緒に電車に乗車していましたが、
その姉がトイレに入っているとき検札が回ってきました。
コンゴ出身の彼女はスウェーデン語を少ししか話すことが出来ないために説明が出来ず、
姉が電車内を探し回り担当者に尋ねる頃には既にKumlaで降ろされていました。
その後泣いているところを通りかかった女性に発見され一時的な保護を受け、
翌朝8時過ぎ駅に戻ったところを彼女を捜していた警察に発見されました。


Statens Järnvägar(SJ,スウェーデン国鉄)はこの件に遺憾の意を表明し、
仮に子どもが切符を持っていなくても強制的に降車させることはないとしています。
SJの関係者はこう話します。
「人気が居ないようなローカル駅で降ろすようなことはしません」。
「本当にこのような事が起きたのなら、我々の関係者が重大なミスを犯しました」。


Göteborg大学で刑法を受け持つ講師は、
この件によって少女が他の重大な事件に巻き込まれる可能性があったことを指摘、
また子どもに大人と同じような責任を持たせることは無理だともしています。
この少女を発見した人物は「彼女は不当に扱われた」
「11歳の子を電車から降ろすなんて間違っている。
彼女はKumlaで何が起きているのかわかっていなかった」
と述べ、当局は担当者を告訴すべきだとしています。


この問題が明るみに出たことでSJを批判する声が多く挙げられています。
「11歳の子どもを放り出すことはあってはならない」とSJの広報担当者が述べるのに反して、
『Dagens Nyhter』は2009年には14〜18歳の難民が、
冬季に十分な防寒具も持たない状況で降車させられた、と報告しています。
昨年も13歳の少女が電池切れのために携帯電話で購入した乗車券を表示できずに、
駅に降ろされていたことが明らかになっています。
今回の事例をSJの広報担当者は、
担当者は少女の年齢がもっと上だと思いこんでいたとしていますが、
そうであっても無人駅に少女を降ろすことは間違いであったと認めています。


無人駅は怖いですね。

Come Around / M.I.A. 2007年