Airo

黄金


フィンランドでは国産映画が活気を見せています。
今年同国で公開されたフィンランド映画は8月地点で長編作品だけで30にもなります。
これは同国最高傑作と名高いEdvin Laine作品
『Tuntematon sotilas(邦題:無名戦士/地獄の最前線)』が公開された1955年、
そしてヘルシンキ五輪が開催された1952年の30作品と並ぶ数字です。
この点について映画館を運営する会社の編成局長は
フィンランド映画は外国映画に比べて公開するための敷居が低いことを挙げています。
「国産映画は平均よりも多くの観客を動員する可能性が高い」と彼は言います。
9月に公開予定のアニメ映画『Ella ja Aleksi』を含めると新記録となります。


フィンランド映画の公開作品の増加には理由があります。
それは近年映画の成功が続いたことにより製作への信頼度が増し、
それにより映画業界は以前より多くの資金を得るという流れがあるからです。
またSuomen elokuvasäätiö(フィンランド映画基金)は、
小規模で制作費が乏しい作品への資金提供を行っています。
そこから生まれた『Vares』の2作品とアニメ『Maaginen kristalli』は
大ロングランとなる大成功を収めています。
また施設面でも映画館のデジタル化が上映数増加に貢献しています。
この恩恵を最大に授かったのはドキュメンタリー作品『Tuntematon emäntä』で、
2万人が鑑賞したとされています。


こうした好調さにあっても、
フィンランドの映画産業内では熱い議論が交わされ続けています。
ある映画組織の会長は2つの側面があることを指摘します。
「より多くの人に映画を作る機会が与えられることは素晴らしいことです。
それによって様々な種類の映画が生まれ国内映画が豊かになり、
映画産業の成長へと繋がっていきます」。
「他方では沢山の映画が上映されることで
国産映画の市場価値を骨抜きにしてしまう可能性も秘めています」。


カリスマカウリスマキ。早口で5回言ってみましょう。

Airo / Rinneradio 2003年