La Metro

上陸しないかな。


2001年9月3日にデンマークで初めての無料新聞『MetroXpress(以下M)』
が創刊されてから10年が経過しました。
その存在はひとつの爆弾のように、
市民の新聞を読む行為とこの国の新聞業界に善と悪の改革をもたらしました。
今日『M』は同国最大の発行部数と読者数をほこり、高い収益率を持つ無料新聞でもあります。
特徴的な点は、駅で手にとり通勤や通学の最中に読むことが可能で、
手軽にニュースの概要を読みとることが出来ることが挙げられます。
このスウェーデンで誕生した業界の風雲児は、
ここデンマークで数十万人の朝の習慣のひとつに欠かせないものになっています。


『M』はデンマーク新聞市場に高い競争力をもたらす。
こう踏んだ日刊紙『Berlingske Tidende』を有するBerlingske Mediaは
それから数週間後の9月24日に無料新聞『Urban』の発行を開始します。
2つの無料新聞の誕生はデンマークの新聞戦争の幕開けとなりました。
そもそも『M』はスウェーデンでは『Metro』という名前で発行されていますが、
デンマークではBerlingskeが商標権を所有しているため
名前の変更を余儀なくされたという経緯があります。


2006年には無料新聞の競争が激化します。
アイスランド投資会社を背景に持つ『Nyhedsavisen』が誕生、
日刊紙『Jyllands-Posten』と『Politiken』を保有する
JP/Politikens Husも『24timer』を創刊させています。
Berlingske Mediaは『DATO』の発行も開始し新聞業界はかつてない賑わいを見せました。
ただこうした状況は長くは続かず『Nyhedsavisen』と『DATO』は巨額の負債を抱え、
それぞれ『M』と『24timer』に吸収されています。


ジャーナリストの男性は、
『M』のような手軽な無料新聞と全国的に読まれる日刊紙とでは、
それぞれ異なる背景があり同一のものではないといいます。
「しかしながらこの国最初かつ最大の無料新聞である『M』は、
ネットやテレビなどとの競争が激しい今日でも、
デンマークでは新聞読者が減少していないことに大きく貢献しています。
若者や異なる民族背景を持つ者に新聞を読む習慣を広めたことは称賛に値します」。


無理ですね。

La Metro / Brigitte Fontaine 2006年