凡才肌

目に付く文字が目に余る。 


"Fuck""Sgu""Shit""For fanden""pokkers"
デンマークではこれらの卑俗な表現が使用された新聞記事の数がここ15年間で倍増しています。
新聞別に見ると『Ekstra Bladet』が最も頻繁にこのような言葉を使用していて、
昨年同紙が掲載した記事全体の21%でそれらが確認できます。
2番目に多いのが『Politiken』で全体の13%で罵言が使用され、
反対に『Jyllands-Posten』の場合はそれらの表現が確認できたのは2%でした。


これはDansk Sprognævn(デンマーク語委員会)の研究者が国内の主要紙や無料新聞、
268の地方新聞に掲載された約100万件の記事を調査し取りまとめたものです。
2005年に卑俗な文字が使用された記事は全体の3.8%でしたが、
昨年は6%と増加傾向にあることも判明しています。
また『Ekstra Bladet』『Politiken』『B.T.』『Berlingske Tidende』の4紙だけで見た場合、
1994年には平均で5.6%だったものが昨年は10%と倍増しています。


「記事を書いているのは大人であるにもかかわらず、このような結果が判明したことは驚きです。
言語学者の立場からすると、
若者が好むような性的表現を新聞に使用するのが適切なことなのか疑問に思います」
と研究者は言います。
「1994〜2009年の間に卑俗な文字の使用が倍増しているという事実は、
そのような表現が発達している事を示しています」


彼女はジャーナリストが使用する言葉にはその時代の社会が反映されていると指摘します。
「たとえ卑俗な言葉が引用記事に記載されていたとしても、
それを掲載するか否かは、ジャーナリストによる報道の選択によって決定されます。
そのなかで卑俗な表現が増加しているということは、
我々の社会の中でそれらが一般化したということを表しています」


また乱暴な文字が増加しているのは、
新聞よりも身近な媒体であるインターネットとソーシャルメディア内で、
多くの人がこれまで以上に文章を書いていることが関係しているかもしれません。
「ある新聞では記事と同様にブログを更新していてますが、
そこにネットを通して意見を述べる人が多くいます。
卑俗な表現がこのような場所から拡大している場合もあります」


ただ冒頭に挙げた文字などが人々にとって不敬に該当するのか、
その意識調査を行う必要があるとも彼女は言います。
「私は既にいくつかのグループに何を卑俗と感じるか調査を行いました。
例えば彼らは"vorherre bevares"を冒涜とは考えていません。
そして"sgu"に関しても60%の人が罵言だとは思っていません」


耳を閉ざして口閉ざさず。
凡才肌 / 椎名林檎 2009年