Supermarket

賢い消費者になろう。


祖父母の世代はよく知っていました。
買い物リストや冷蔵庫の中身は食品くずや残飯ではなく、
沢山の美味しい料理で満たされる必要があることを。
そして今、子どもや孫の世代もそれを学ぶ必要があります。
金融危機と食料価格の高騰は、無駄を減らした食事の大切さを理解する機会といえます。


デンマークの消費者団体も無駄を抑えるよう呼びかけています。
「近年は食品廃棄物への関心が急速に高まっています。
今では祖父母の世代だけでなく、若者世代にも無駄を無くそうとする努力が見られ、
こういった風潮が広まっている実感はありますが、まだ十分とはいえません」
と7000人を会員に持つ同団体創設者の女性は言います。


この流れは食品産業と農業でも確認されています。
2006年の統計でデンマーク人は1人あたり1年で60〜65kgの残飯を出していましたが、
金融危機の影響、そして市民の食と環境への態度に変化が見られたことで、
現在ではその数字は減少しているとのことです。


このように消費者のなかには廃棄物を減らす努力が見られますが、
消費者団体は食品産業についてはまだまだ改善すべき点が多くあると見ています。
彼らは巨大なパックしか陳列されていない状況では、独身の人は中身を空にするのは難しく、
重量で割引をする食品の場合、多くの人が必要以上に購入させられていると批判します。
こうした指摘を受け、あるスーパーは重量割引を辞める代わりに本体価格を抑えることにしました。
「そうした割引は大家族を意識したものですが、それは大量の食品廃棄にも繋がります。
だから他のスーパーが同調しないことにはがっかりしています。
売店もこの問題の責任を負うべきなのです」と彼女は言います。


企業から余剰食糧を調達して社会的弱者へ配布しているNPO団体の代表の男性は、
食品業界からの支援はありがたいことだと言います。
「我々はこれまで以上に食品の寄付がされることを望み、
それと同時に金銭的な援助も為されることも求めていくつもりです。
他国に比べてデンマークではこういった事業が遅れています。
食品産業がより社会的責任を果たすよう、我々ももっと求めるべきなのです」
ただ食品会社のコンサルタントを務める女性はこうした見方を否定します。
「企業も大量に廃棄物が出ている現状を理解しているし、そして責任も負っています。
対策として包装やサイズの最適化に取り組んでいます。
彼らの主張は挑発的な先導のように見えます」


Miljøstyrelsen(デンマーク環境保護庁)の調査によると、
国内の小売業は1年当たり46千tonの食品を排出していて、
その多くは食べることが可能なものということです。
大手スーパーの通信コンサルタントの女性は、
賞味期限が近づいたときにはそれを知らせるステッカーを添付しているといいます。
「商店と消費者を結ぶ道が築かれれば、
すべての食品を販売して廃棄物を無くすということも可能でしょう。
しかしそれは夢であって、実際には食べ物ゴミの山が出来ています」
重量で割引を行うことが消費者に安い商品を提供する機会になると彼女は主張します。
またあるスーパーはこうコメントを発表しています。
「大きいものを購入して節約する理由のひとつとして、
将来大きな家に住むための貯蓄をするためでもあります。
もし我々がそうした販売を取り止めたら、家を買うことが出来ないかもしれません。
ですからこれからも重量割引による販売を継続していきます」


必要なものを必要なだけ。
Supermarket / Tys Tys 2004年