I Wish You Love

うちはコーラが禁止でした。


健康観とは時代が移り変わると共に変化するものです。
それは政治情勢や科学の発展、そして時代思潮といったものが、
健康という概念や食生活・食習慣の基準に大きく反映されているからです。
各時代の健康観を読み解くには、
最も真剣な議論が繰り広げられる子どもの健康を見るのが最適です。
現在のフィンランドにおける健康とは何か?見てみることにしましょう。


フィンランドにおける健康問題の始まりは飢餓でした。
戦後最優先の課題は貧血と栄養失調に苦しむ子どもたちに食事を与えることだった、
とTerveyden ja hyvinvoinnin laitos(国立保健福祉研究所)の所長は言います。
当時、子どもたちにはVeriohukainen(血のパンケーキ)やレバーが供給され、
貧血に苦しむ子には飲料として血が配られました。
そして栄養失調の子にはクリームが配布されました。
「これは祖父母の時代、1960年代まで続けられました」


1960年代、生活の改善によって多くの選択肢が存在することになり、
人々の関心は健康を促進する食品へと向かいます。
このころオレンジジュースがフィンランドの家庭に定着することになりますが、
それらは長距離輸送により新鮮さを失い、味はとても酸っぱいものでした。
当時の風潮としては、白パンに代表される精製食品への批判が高まり、
全粒小麦や繊維を多く含む食品への再評価が集まりました。


1980年代に入ると、健康促進食品は有害物質を避ける人々から支持を失います。
例えば、摂りすぎるとビタミンAが過多になる心配があるレバーや、
コレステロール値が気になる人は卵を控えるようになりました。
この時代は軽食と人工甘味料が花を咲かせた時期でもありました。
そして1990年代以降は機能性食品が広く売られています。


Veriohukainenは甘いのでしょうか、苦いのでしょうか。

I Wish You Love / 小野リサ 2004年