Singin' the blues

クロワッサンのあの香り。 hs.fi


スウェーデンではここ数ヶ月間国産バターの品不足に陥っています。
この状況は今後も続くと予想されており、
雑誌上では生クリームでバターを作る方法が紹介されているほどです。
フィンランドは隣国ほど深刻な問題にはなっていませんが、
供給が追いつかない可能性も少なからずあるようです。
乳製品メーカーの『Valio』と『Ingman』の関係者は、
フィンランド国内におけるバターの消費量は拡大を続けていて、
乳脂肪の供給は需要を賄えるほど十分ではないと明かしています。


「バターの消費量は1960年代から2010年まで徐々に低下していました。
昨年頃から成長が見られるようになり、
今年は前年より20%消費量が増えると考えられています」
と『Valio』の関係者は言います。
現代のフィンランド人はバター以外での乳脂肪の消化も増えています。
「ヨーグルトやチーズを作る行程には沢山の乳脂肪を必要としており、
バターの製造に使用できる脂肪が少ないのです」。
健康志向の広まりからか、
フィンランドスウェーデンでも低炭水化物ダイエットに勤しむ人の数は増えていますが、
バターやチーズには手が伸び続けています。
「マーガリンや低脂肪製品の消費は減少し、自然食品や無添加製品に取って代わっています」
と『Ingman』のCEOは言います。


スウェーデンがバター不足に陥り理由のひとつには、
牛乳生産の急激な減少も含まれています。
バターを製造するための牛乳が不足しているにもかかわらず、
3月〜9月にかけて牛乳の生産が落ち込んだことがこの状況を更に悪化させています。
酪農組合Svensk Mjölkで市場アナリストを務める人物は、
バター不足には少々困惑しているといいます。
「生産メーカーはスウェーデン産バターを生産するための国産クリームを作るために、
デンマークフィンランドから乳脂を買っています」。
ただ『Valio』と『Ingman』はこのような製造方法を取り入れていません。
「バターには象徴的価値があります。
バターが本物の国産バターであること、
それがスウェーデンの消費者にとって重要なことなのです」。


日本人にとっての米でしょうか。

Singin' the blues / Billy Butterfield 1964年

BOHBO No.5

Catch me if you can。


今年デンマークで開催された
UCI Road World Championships(世界選手権自転車競技大会ロードレース)。
その大会前デンマーク人のAlex Rasmussen(HTC-Highroad)は
ドーピング検査を逃れたとして所属チームを解雇され、
Danmarks Cykle Union(DCU)からも暫定処置として出場停止処分を言い渡されました。
彼は自転車の世界では名の知られた選手で
トラック種目では数々の世界タイトルを獲得しています。
近年並行して取り組んできたロード種目でも
短距離のタイムトライアル(TT)や平地スプリントなどで活躍していました。


Union Cycliste Internationale(UCI,国際自転車競技連合)は
アンチドーピングの取り組みのひとつとして、
選手に18ヶ月間に3度の薬物検査を義務づけています。
彼はいずれの検査も受けることなく、今回の問題が発生しました。
ドーピング違反や薬物検査を逃れた選手には処分がなされ、
初めての場合には2年間の出場停止処分が出されることが通例になっています。


しかし先週Danmarks Idræts-Forbunds(DIF)が行った彼の処分をめぐる協議ではシロ、
つまり処分の撤回が言い渡されました。
DIFはAlexの3度目の検査逃れ後にUCIが通達した警告が遅かったと判断しました。
「彼が検査を逃れたのは今年4月のことですが、警告が出されたのは8月です。
これは遅すぎる。よって我々はAlexを無罪と決めました」
とDIFの会長は話しています。
規定では違反があった場合には14日以内に選手に通達を行う義務があります。


これによって移籍が決まっていたGarmin-Cervéloへの参加が決定し、
彼が目標としていたロンドン五輪出場の可能性が見えてきました。
ただUCIとWorld Anti-Doping Agency(WADA,世界アンチ・ドーピング機関)は、
Court of Arbitration for Sport(CAS,スポーツ仲裁裁判所)にこの処分を
不服とする申し立てを行える権利を有しています。


灰色ですね。

BOHBO No.5 / サザンオールスターズ 2005年

The STANDARD

ほとんど目にする機会はないです。


先日デンマークのある有名なカフェでは授乳が禁止されました。
「食事する際に胸を見せられることは好ましいことではありません。
ここは食事の場所であり、そのような場所ではない」
と店のオーナーは話しています。
この店は育児に勤しむ母親グループが集う人気店ですが、
それを改めたいということです。


この決定について国内では賛否両論が飛び交っています。
公共の場における私的な行為が問題であるというならば、
パソコンやスマートフォンを操作することは容認できるのか?
更にそれらでいかがわしいものを閲覧していたとしたらどうなのか?
授乳は比較的短時間で行えるものなので席を外すなどの配慮はすべきだ。
子どもを育てるのは親であり社会である。
あまりに私的な行為で見たくない。
等々の声が挙がっています。


さてところ変わってスウェーデン
「母親から様々な聞き取りをした結果、
彼女たちは日常生活の中で如何にして授乳を行うかの選択を迫られています」
と母乳育児を推進する会の関係者は言います。
スウェーデンでは85%の人が母乳育児が良いと答えています。
しかしながら乳幼児製品メーカーの調査では、
18〜22歳までの若者の4人に3人は特定の場所では授乳は不適切だと考えています。
最も不適切だと考えられている場所は公共交通機関で82%、
以下レストランの80%、バーの76%という順番でした。
大半の人は授乳を私的な行為と捉えていてビーチや図書館では容認するようです。


Örebro議会で小児科コーディネーターを務める人物は、
こうした態度の変化は母乳の習慣に変化を及ぼしかねないといいます。
「今日では外へ出て社会進出することが一般的になったにもかかわらず、
多くの人が授乳するためには屋内にいなければならないと考えているのは残念です。
これはつまり公共の場での授乳はダメ、と社会全体が考えているということです」。


授乳服というものがあるようです。

The STANDARD / 奥田民生 2001年

I WANNA BE DOWN

ローズ。


今日多文化が息づくスウェーデンでは様々な言語が使用されています。
近年では移住して間もない状況であっても、
ほとんどの移民がスウェーデン語を話せるようになってきています。
このような経緯からプロの通訳として採用される人も出てきています。
しかし先日発表された研究結果では大半の通訳者は仕事を扱えるレベルではなく、
そうした人達によって深刻な影響が出ているということです。


通訳者は主に国や地方自治体に採用され、
公共分野においてスウェーデン語話者と他言語話者との
コミュニケーションを繋ぐ役割が期待されています。
裁判所が代表的な場所ですが病院や警察に属する人もいます。
この結果を発表したLund大学の研究者は、
スウェーデンの通訳サービスには重大な欠陥があることを指摘します。
高い基準に達するような通訳者はほどんどおらず、
スウェーデン国内には5〜6千人の通訳者が存在しているが、
正式な資格を持つ者は800人程度、国の養成課程を卒業した人も300人程度しかいない」。
「日常的に通訳として働くもののほとんどはそうした制度は必要ないと考えています」。


語彙が乏しい人達によって導かれた誤った結果は深刻な事態を引き起こします。
病院では診察や与えられた薬による深刻な影響が心配され、
法廷ではその言葉が判決を左右します。
こうした問題の解決策として研究者は、
有資格者の賃金を高めることと国による研修プログラムの改善することを挙げています。


rhodes・rose。

I WANNA BE DOWN / m-flo loves 坂本龍一 2004年

2000 talet

汚れる。


9月スウェーデン中西部にあるTjörn島近くで油が流出する事故が起きました。
これは9月10日デンマーク沖のKattegat海峡で発生した
マルタ船籍の貨物船とベルギー船籍の漁船の衝突事故から流れ出たものです。
貨物船籍の損傷は激しく、側面に出来た亀裂から油が流出したと報告されています。
流出の判明から数日後にあたる18日には150立方メートル分を回収しましたが、
どれほどの流出量があるかは不明なため全作業を終えるには4週間以上掛かるとされています。
Kustbevakningen(沿岸警備隊)の記録によると今回の事故は過去25年で最悪に該当します。


時間の経過と共に拡散していく油を回収するため、
沿岸警備隊や専門チームは昼夜を問わず作業に当たっています。
海辺に並ぶ岩などに付着したものは手作業で回収する必要があり、
周辺住民からは手助けしたいという申し出が相次いでいますが、
島の消防責任者は危険だと指摘します。
「油による汚染はとても強力なものであり、
特殊な道具を有していないと立ちくらみや呼吸困難に見舞われます。
それよりも今は財源の確保が重要です」。


Tjörn島がある周辺地域は美しい景観が広がり、
北に位置するStigfjordenはフィヨルドで知られ海洋自然保護区に指定されています。
また希少な野鳥の営巣地でもあり、今回の事故による環境汚染が心配されます。
Göteborgにある野鳥センターでは既に50羽以上を保護されています。
「どれくらいの野鳥に影響を与えるのかははっきりとはわかりません」
と同センターの職員は言います。
「ただ汚染された野鳥や小さなボートでしか接岸できない礁が
数百あるいは数千以上あるのは間違いないでしょう」。


鳴いている。

2000 talet / Ken Ring 2007年

傷だらけのローラ

あなたの足はなんですか?


フィンランドで通学の手段として用いられるのは、
一般的に徒歩・自転車・トラム・電車・自動車が大半を占めています。
どのように通学しているのか、
実際に学生に尋ねるとなかには珍しいものを見受けられます。

通学手段 性別:年齢 通学距離 所要時間 都市名
スクーター 女子:15歳 2km 4分 Kuopio

両親が4月に買ってくれました。
昨年のモデルで価格は2200EUR(22万8千円)、急加速が得意で何よりも低燃費。
4ストロークエンジンだけど静かで、目立った不満はないわ。
免許は取り立てだけどこれであらゆる所に移動できるの。
まだ危険な目にはあったことがないです。
モペッドやスクーターを持っているクラスメイトはかなり多いわね。

小型自動車 女子:16歳 25km:30分 Orimattila

中学生の時はバスで通っていたんだけど、
高校へ行くには都合のいい時間帯に運行されていなかったの。
色は自分で選んだんだけど、赤は最高よ!
走行距離計は1万6千km。16ヶ月前に買ったから月1千km走ってることになるわね。
友だちを家まで送る時もあるし、家族の送り迎えをもするし、
私自身も30kmぐらいの小旅行にもよく使うの。
小型車は人生を楽にするわ。なんたって冬でも運転できるんだから。
冬が来る前にはオイルパンヒーターを入れとかないとね。
ラジオをよく聴くんだけど、音楽なしの30分は長いわ。

スケートボード 男子:15歳 10km:30分 ヘルシンキ

Vartiokyläに住んでいるから最寄りの地下鉄の駅までまず滑って、
Kaisaniemi駅から学校までまたスケートというかたちだね。
乗っているのはロングボードなんだけど、
一般的なものより長くて安定しているんだ。
夏に買ったばかりだけど乗るのは簡単だし、かなりの速度もでるよ。
原付より速いとは思わないけど、徒歩よりは確実に速いね。

ラクター 女子:17歳 12km:20分 Jalasjärvi

ラクターの免許を取ったのは15歳の時で、それ以降はずっとこれです。
今乗っているのは最新型で変速とステレオが付いています。
最高速度は50kmです。
雨が降ったときなんかは友だちを送ってあげることもあるわね。
この地方では多くの子どもがトラクターで通勤しているし、
男子よりも私のような女子の方が多いと思う。
ラクターは通学のためじゃなくて、農業をするために必要なの。
今月は18回利用したけど、それ以上は使わないわ。

ローラースキー 男子:18歳 23.5km:1時間20分 Jyväskylä

僕はスキー協会に指定された強化選手のひとりです。
目標は競技スキーに出場して世界トップレベルの選手になることです。
そのためにJyväskyläの体育学校に進学しました。
春と秋にはプログラムによってローラースキーか自転車で移動しています。
このあいだ自動車免許を取得したので車も選択できるようになりました。
ローラースキーはゆっくり用・フリースタイル用・クラシカル用の3種類持ってます。
コーチに言わせると、
僕の体格だとどの距離もどの形式にも向いているということです。


白馬で通う人はいないみたいです。

傷だらけのローラ / 西城秀樹 1974年

Ibhola Lethu

ダイナマイトへの道は険しい。


11月11日各地でサッカーの親善試合が行われ、
デンマークは地元でスウェーデンと対戦しました。
デンマークは前半にFW:Nicklas Bendtner(Sunderland)の得点で先制すると、
後半もMF:Michael Krohn-Dehli(Brøndby)が追加点を挙げて2対0で勝利しています。


先月行われたUEFA EURO 2012(サッカー欧州選手権)予選最終戦の面子から、
DF:Daniel Agger(Liverpool)とDF:Simon Poulsen(AZ)が先発に復帰、
故障によって離脱したDF:Simon Kjær(Roma)の代役には、
先日Aggerの穴を見事に埋めたDF:Andreas Bjelland(Nordsjælland)が引き続き起用されました。
前半35分右サイドを抜け出したDF:Lars Jacobsen(København)が深い位置からクロス、
中央に飛び込んだAggerに相手DFが集中したことで後ろにいたBendtnerがフリーでトラップ、
落ち着いて流し込んで先制点を挙げます。
後半はスウェーデンが押し気味に試合を進めますが得点は奪えず。
反対にデンマークはカウンターでKrohn-Dehliが駄目押しとなる2点目を挙げ試合を決めました。


先月発表されたMorten Olsen代表監督の契約延長後初めて行われた代表戦。
欧州選手権出場を決めたこともあり試合では積極的に選手を起用し、
この日はDF:Jores Okore(Nordsjælland)とFW:Nicolai Jørgensen(Leverkusen)
のふたりが代表戦初出場を果たしています。
昨年のFIFA World Cup(サッカーワールドカップ南アフリカ大会)後
Jon Dahl Tomassonらが代表を離れたにもかかわらずマンネリ感が否めなかった代表だけに、
新しい選手がどのような変化をチームにもたらすのか注目されます。


Aggerは怪我さえなければ・・・。

Ibhola Lethu / Johnny Clegg & Savuka 2003年